2021年度第八回GBSセミナー(2022/2/4 17:00@ZOOM)

日時:2022年2月4日(金) 17:00~18:00(発表45分,質疑15分)

講演者:加藤真悟 博士(理化学研究所バイオリソース研究センター)

演題:分子生態学と地球惑星科学の相互作用

要旨:
地球表層環境におけるエネルギー・物質循環の過去・現在・未来を議論する上で、微生物の存在を無視することはできない。しかしながら、地球上に存在する微生物の大部分は、まだ実験室内で培養できておらず、その機能や役割はほとんど未知である。それら機能未知の未培養微生物は、宇宙を満たす暗黒物質(ダークマター)になぞらえて、「微生物ダークマター」と呼ばれている。近年、対象となる微生物を培養できなくても、環境中のその微生物由来の生体分子(主に核酸)を分析することができるようになった。分子(微生物)生態学は、それらの生体分子を対象にして微生物の生態に迫る学問分野であり、「微生物ダークマター」の全貌解明において中心的な役割を担っている。演者は、これまで海底熱水噴出域や温泉といった極限環境に生息する「微生物ダークマター」を対象として、培養を基軸にしつつ、分子生態学なアプローチも進めてきた。本セミナーでは、演者のこれまでの研究成果を紹介しつつ、分子生態学の歴史を振り返り、現状を把握し、今後の分子生態学と地球惑星科学の相互作用について皆さんと一緒に考えてみたい。