日時:2022年10月24日(月) 17:30~18:30(発表45分,質疑15分)
講演者:砂村倫成 助教
場所:理学部1号館336号室+zoom
演題:深海海底面境界と微生物相
要旨:
境界層は物理化学条件の急激な変化に伴う生物の生育エネルギーが得やすい環境である。海底面は地球上で最大級の境界層であり、海洋から堆積物表層へは沈降粒子を通じて物質が輸送・貯蔵される。海底下から海洋へは、海底熱水やメタン湧水など密度差による流体の上昇、海溝や大陸棚では堆積物の深海への再懸濁を通じ、特定の環境でのフラックスが確認されている。一般的な深海では海底面上1000m程度から海底面に向けて微生物密度の上昇がしばしば観察され、深海海底面付近からの物質もしくは微生物バイオマスの供給が示唆されるが、海底面付近での海水-海底下の連続的な微生物群集の調査例は乏しく、その原因はわかっていない。本発表では、フィリピン海プレート上の8カ所の海山山麓で海底面を境界として堆積物から海底面高度100mまでの海水の連続的採取により微生物群集構造鉛直分布の調査結果を紹介し、海底面近辺での生物地球化学過程の多様性を議論する。